目 次
はじめに
第1章 乳ガンの治療法
第1節 乳ガンの外科手術
第2節 乳房を再建する手術
第3節 乳ガンの再発を予防する療法
第2章 子宮頸ガンの治療法
第1節 子宮頸ガンの外科手術
第2節 子宮頸ガンの抗ガン剤(化学)療法
第3節 子宮頸ガンの放射線療法など
第3章 子宮体ガンの治療法
第1節 子宮体ガンの外科手術
第2節 早期の子宮体ガンのホルモン療法
第3節 子宮体ガンの抗ガン剤(化学)療法
第4節 子宮体ガンの放射線療法
第4章 卵巣ガンの治療法
第1節 卵巣ガンの外科手術
第2節 卵巣ガンの手術前抗ガン剤(化学)療法
まとめ
はじめに
前回(第2回)では、乳ガン、子宮ガン、卵巣ガンなどの女性だけのガンとはどのような病気か?どのような症状が現れるか?どのようにして診断されるか?などについて詳しく述べました。20歳代から一生つきまわるこれらの病気について知っていただけたと思います。今回は、これらの「女性だけのガンの治療法」について述べます。
第1章 乳ガンの治療法
乳ガンの治療法には、乳房内の一部を摘出する外科手術や放射線療法などの「局所治療」と抗ガン剤(化学)療法やホルモン療法などの薬物療法を行う全身を対象とした「全身治療」があります。このほかに、「温熱(ハイパーサミア)療法」、「免疫療法」など、およびこれらの療法を組み合わせた集学療法もあり、これらの療法を単独あるいは組み合わせて治療しています。
乳ガンを治療する方針は、検査で明らかになった:ガンの位置、大きさ、数、性質、広がり、転移の有無などによって決定されます。治療法が進歩していますので、選択肢は増えています。手術を受けるにしても、「乳房を残したいか?」、「乳房を切除してそのままにしたいか?」、「切除した乳房を再建したいか?」「再発を防ぐ方法」などについて述べます。患者さんの希望によって、治療法が変わることもあります。治療方法を十分に知っておいて、ご自分の希望を担当医に伝えることが大切です。
第1節 乳ガンの外科手術
ガンがほかの臓器に転移していない場合には、まず、次のような手術による治療を考えます。
1.乳房温存手術:
昔は、ガンができた乳房を全部切除するのが基本でした。しかし、早期ガンの場合は、ガンだけを切除して、乳房を残すことができるようになりました。現在は、「しこり」の大きさが直径3センチ以下(乳房の1/4が目安)の早期ガンで、ガンがその範囲に限られている場合には、患者さんが希望すれば、「乳房温存手術」が行われます。1/4以下のガンを切除しても、乳房は元の形と変わりません。
乳房を残した部分からのガンの再発を防ぐため、手術後に放射線療法を受ける必要があります。放射線の影響で皮膚の伸びが悪くなるなど、皮膚に影響が出るため、放射線療法後には、乳房再建手術は難しくなります。
また、乳房温存手術を受けても、手術中に切除した組織の検査でガン細胞があるか?を調べる「断端検査」によって、ガンが広がっていれば、改めて乳房切除手術が必要になることもあります。
2.乳房を切除する手術:
乳房を全部切除する手術で、ガンが乳房の1/4以上に広がっている人や複数のガンが離れた場所に存在す人が対象になります。また、ある種の膠原病があって、放射線による皮膚障害が現れやすく、放射線療法が受けられない人も対象になります。乳房は切除されてしまいますが、手術後の放射線療法は必ずしも必要としないので、皮膚障害を受けることなく、乳房の再建が可能です。
3.「しこり」とリンパ節を切除する外科手術:
この外科手術法は、乳房の「しこり」とその周囲を切除すると同時に、脇の下のリンパ節も切除します。乳房の切除法には、「乳房円状部分切除法」と「乳房扇状部分切除法」があります。
(1)乳房円状部分切除法:
ガンの部分を中心に、その周囲を約1.5cmの範囲を正常な乳腺組織を含めて円状に切除する方法です。この方法は、ガンの大きさが小さく、乳房が大きい場合に適しています。
(2)乳房扇状部分切除法:
この手術は、ガンが比較的大きい場合に行われます。乳頭を頂点として、ガンと乳腺組織を扇状に切除します。乳腺組織の切除量が多いと、乳房が陥没したり、形や大きさが変わることがあります。その場合には、「乳腺移行術」が行われます。また、変形が大きい(1/4以上)場合には、「乳房再建術」が行われます。
切除するリンパ節の範囲:乳ガンの転移に対しては、まず脇の下のリンパ節に転移が起こります。前回述べたように、転移が起きているかどうかは、「センチネルリンパ節生検」で判断します。ンチネルリンパ節に転移があった場合には、脇の下にある30〜40個のリンパ節のうちの15個ほどを採取し、そのうちのいくつにガンが転移しているかを調べます。その結果に従って、手術後にどのような治療を行うかを決めます。転移しているリンパ節の数が多いほど、手術後の化学療法やホルモン療法が重要になります。
乳ガンはゆっくり進行することが多いガンですから、1〜2カ月間の期間をおいても、治療が手遅れになることはありません。時間をかけて、いくつかある選択肢の中から、最も自分の希望に合った治療法を選択しましょう。
(3)手術を受ける場合の注意:
手術を受ける場合には、(ア).乳腺や皮膚の切除範囲や乳頭、乳輪は残るか?(イ).手術後の傷痕は、どこにどの程度残るか?(ウ).手術後の乳房の形はどうなるか?(エ).執刀者名、手術時間、入院期間など、(オ).合併法の有無、(カ).乳房再建の可能性などを前もって担当医に聞いておくことが大切です。
特に、乳房温存手術の場合は、乳房の形がどのように変化するかも確認しておきましょう。手術後に乳房の変形があまり大きくなるようでしたら、乳房を再建することも考えられます。
(4)手術の後遺症:
手術後に、「傷口の引きつれ」や「痛み」のために、体が動かさない人がおります。体を動かさないと、特に腕の関節を動かせる範囲が狭くなり、筋肉も衰えます。積極的に体を動かしてください。また、脇の下のリンパ節を切除するとリンパ液の流れが悪くなるため、手術した側の腕に「むくみ」が生じやすくなりますから、こまめに腕をマッサージすることが勧められます。
第2節 乳房を再建する手術
乳房の再建については、乳房を切除する前に、再建するかどうかを前もって検討しておきます。乳房再建手術には、乳房の切除と再建を同時に行って2時間程度かかる「一期再建」と乳房を切除してから改めて行って3〜4時間かかる「二期再建」があります。再建方法には、自分の体の一部を使う「自己組織による再建法」とシリコンバックなどの「人工乳房を使う再建法」があります。
1.自己組織を使う乳房再建術:
自分の組織を使った乳房再建術には、(1)「広背筋皮弁」、(2)「腹直筋皮弁」、(3)「遊離皮弁」があります。これらは、いずれも自分の組織を使うのでアレルギーなどの心配はありませんが、手術時間や入院期間は長くなります。手術後は腕が少し上げにくくなりますが、日常生活に支障はありません。また、背中に細い傷跡が残ります。
乳房再建術(1)広背筋皮弁:背中の皮膚と脂肪の一部と筋肉の一部(広背筋)を、血管をつけたまま胸部に移動させる方法です。
乳房再建術(2)腹直筋皮弁:腹部の皮膚と脂肪の一部と筋肉の一部を、血管をつけたまま、胸部に移動させる方法です。脂肪が多いので、大きな乳房をつくることができます。ただし、おなかに力を入れにくくなるので、妊娠を希望する人や腰痛がある人にはお勧めできません。
乳房再建術(3)遊離皮弁:下腹部の皮膚と脂肪を切り離し、それを胸部に移植して血管をつなげる方法です。皮下脂肪が十分にある人に向いています。
これらの乳房再建術は、自分の組織を使うため、アレルギ―などの心配はありません。しかし、手術時間や入院期間は長くなります。通常、乳房切除には2〜3時間かかり、入院期間は10日〜2週間程度です。また、一期再建の場合、広背筋皮弁と腹直筋皮弁は2時間程度で、自分の組織による乳房再建のための入院期間は2〜3週間程度です。
2.人工乳房を使う乳房再建術(生食バック法):
背中やおなかに傷跡を残したくない人に用いる方法で、シリコンバックなどの人工素材を大胸筋の下に入れて乳房の膨らみをつくります。まず、乳房を切除した後、大胸筋の下に、「エキスパンダー」と呼ばれるシリコン製の風船を入れ、1週間に1回の割合で、風船に生理食塩水を注入して膨らませます。約6カ月後、胸部の皮膚や筋肉が十分拡張したところで、生理食塩水の入った「生食バック」を入れ替えます。まれにアレルギー反応を起こす人がいます。2008年3月現在、この乳房再建法には健康保険が適用されていません。
第3節 乳ガンの再発を予防する療法
乳ガンの場合、手術が終わればすべて終わりというわけではありません。目に見えず、検査してもわからない微小な転移が、すでに起きている可能性があるからです。実際、リンパ節転移がなく、手術でガンを取り除くことができた場合でも10〜20%は再発します。この再発を防ぐため、場合によっては、数年間にわたる手術後の治療が必要なのです。
手述後の再発を予防する療法には、「放射線療法」、「ホルモン療法」、「化学療法」の3種類があります。これらのどの療法を受けるかは、手術で切除した組織やリンパ節の病理検査によって、「ガンの性質」、「ガンの大きさ(ガンの浸潤径)」、「転移したリンパ節の数」、「血管・リンパ管への浸潤の有無」、「ガンの悪性度」などがわかります。再発予防療法は、これらの病理検査の結果を参考にして決めます。
1.手術後の放射線療法
乳房温存手術後の療法として広く放射線療法が行なわれています。乳ガンは、放射線療法が比較的効きやすいガンですので、3cm以下のガンには放射線療法を行って乳房を温存します。
(1)乳房温存手術を受けた後の放射線療法:
乳房温存手術を受けた後に、残した乳房に外来で、1回に2グレイの放射線を照射します。この治療を週5回(10グレイ)、5〜6週間(50〜60グレイ)続けます。治療の効果が出るためには、継続することが大切ですから、体調を管理してスケジュール通りに放射線療法を受けてください。
(2)乳房切除手術を受けた後の放射線療法:
乳房の切除手術を受けた人で、リンパ節転移が4個以上あって、再発リスクが高い場合には、周囲のリンパ節と胸壁に照射します。この場合も、照射スケジュールは(1)と同じです。
これらの放射線療法による治療効果は、20グレイ(2週間)以上照射後から現れることがわかっていますから、放射線療法を中断しないでください。
(3)3cm以下のガンに対するピンピイント3次元放射線療法:
通常の放射線照射では、体の前と後ろから(つまり、おなかと背中の向きから)、あるいは左と右から照射(二次元照射)されます。
乳ガンの乳房温存療法で「しこり」をくりぬいた後に乳房全体に照射するのも二次元照射法です。この二次元照射法は「広く薄く」照射するので、副作用が心配されます。平面で照射される2次元ピンポイント照射法では、照射平面の正常細胞は損傷を受けます。
これに対して、三次元ピンポイント照射法は、いろいろな平面のいろいろな方向から照射する方法ですから、標的のガンを集中的に照射できます。正常細胞に照射される線量は非常に少ないので、正常組織の損傷が少ないという利点があります。
(4)乳ガンに対する手術しない三次元ピンポイント(定位)照射療法:
約6cmの乳ガン患者に対しては、通常の放射線と抗ガン剤を組み合わせて数カ月間治療し、ガンを縮小させた後の「しこり」に三次元ピンポイント照射を行って成功しています。この照射法は「定位」照射療法と呼ばれています。
(5)化学増感放射線療法:
放射線治療の効果を増強する薬剤(放射線増感剤)の研究は30年前から世界中で行われています。京都大学グループが開発したサナゾール(ニロトリアゾール誘導体)は、これまでに288人の乳ガン患者の放射線治療に使われています。
(6)放射線照射後の温熱療法(ハイパーサーミア):
乳ガンの放射線療法の直後に温熱療法が行なわれることが多くなってきました。ガン細胞は41℃以上の熱に弱いことを利用した療法です。温熱療法として、電子レンジの原理を利用したマイクロ波(周波数:2450MHz(メガヘルツ)温熱があります。京都大学グループは、周波数が8MHzの高周波を採用したサーモトロンRF8を開発しました。これによって体内の6〜12,5cmにある深部ガンを十分に温熱することができるようになりました。乳ガンを温熱するには、極板で背中と胸を挟むようにして、週に1〜2回の温熱を放射線照射の直後に約1時間行います。温熱療法は化学療法においても併用されており、健康保険が適用されています。
放射線療法の副作用:
照射直後の主な副作用は、照射を受けた部位のピリピリした刺激を感じる「皮膚炎」で、治療を開始してから2〜3週間後から現れ、照射を終了すればやがて消えます。一度照射療法を行った部位には、再発しても再び行うことはできません。また、妊娠している場合には、胎児に影響を与える可能性があるので、担当医とよく相談してください。
2.手術後のホルモン療法
(1).エストロゲン:ガンの性質によっては、ホルモン療法が行えます。乳ガンには、エストロゲンという女性ホルモンを取り込んで増殖するガン(ホルモン感受性ガン)と、そうでないもの(ホルモン非感受性ガン)があります。ホルモン感受性ガンは、乳ガン全体の60〜70%を占めます。
ガン細胞の表面にあるHER2(ハーツウというタンパク質は、HER2受容体と結合してガン細胞に「増殖せよ」という指令を出して増殖させます。
これに対して、トラスツマブ(商品名:イレッサ)という分子標的薬は、HER2受容体に蓋をするような働きをしてガン細胞の増殖を抑制します。乳ガン患者さんの15〜20%が、この薬による治療の対象になるといわれます。トラスツマブは2008年3月から手術後の治療にも健康保険が適用されるようになっていますが、間質性肺炎という副作用が社会問題になっていますから注意してください。
(2).「抗エストロゲン薬療法」:ホルモン療法で使用される「抗エストロゲン薬」は、ガン細胞がエストロゲンを取り込まないようにブロックする働きを持っている薬で、5年間の服用が基本です。「LH−RH製剤」は、卵巣でエストロゲンがつくられるのを防ぐ薬で、閉経前の人に用いられ、月1回または3回の注射を2年間続けます。
[アロマターゼ阻害薬]は、脂肪組織でエストロゲンが作られる過程に作用し、エストロゲンがつくられるのを防ぎます。閉経後の人に使われる薬で、これも5年間の服用が基本です。
(3).ホルモン療法の効果:乳ガンは、手術後になんらかの治療を行わないと、5年間で約38%が再発します。抗エストロゲン薬を使うと再発率は19%に半減し、アロマターゼ阻害薬を使うと、そこからさらに20〜30%下がります。
(4).ホルモン療法の晩発副作用:ホルモン療法は、副作用によって10000人に2〜3人の割合で「子宮体ガン」が発生しますが、100人に20〜30人の再発を防ぐことができます。また、子宮体ガンは早期に発見すれば完治も可能です。再発した乳ガンを完治させることは難しいのが現状です。乳ガンの治療には、メリットとデメリットを考えて担当医と相談しながら進めてください。
3.ホルモン療法後の抗ガン剤(化学)療法
ホルモン療法が効かないタイプの患者さんや、再発リスクが高い患者さんに対しては、ホルモン療法が終わってから化学療法が行われます。乳ガンに効く抗ガン剤は複数あり、それらを組み合わせた「多剤併用療法」が行われています。作用の仕方が異なる薬を組み合わせて効果を高め、特定の副作用が強く出ないようにするのが狙いです。
乳ガンに対して行う、フルオロウラシル(F)、エトポシド(E)、シクロホスファミド(C)の3種類の抗ガン剤を併用するFEC療法では、3週間ごとの点滴投薬と3週間の休薬を1サイクルとし、これを4〜6回繰り返します。このスケジュールを守ることによって、副作用や治療による体力の低下を防ぎながら治療を続けられるようにしています。
4.再発した乳ガンの療法:
乳ガンは、手術できれいにガン取り除いたとしても、再発することがあります。画像検査では、ガンが5mmを超えないと見つかりません。治療が終了しても、転移や再発を考えておく必要があります。しかし、治療法の進歩に伴って、乳ガンの再発後の生存率は着実に高くなっています。
(1)乳ガン再発のタイプ:乳ガンの再発には、乳房温存手術で残した乳房や乳房切除後の胸壁やその近くのリンパ節に転移した「局所再発」と肺、肝臓、脳などの他の臓器や骨に転移する「遠隔転移」があります。
(2)乳房温存手術を受けた人の局所再発の治療:初回の治療で乳房温存手術
を受けた人は、乳房を切除する手術でガンを切除できれば根治も可能ですが、すでに初回の治療で通常の放射線療法を受けている人に対しては、必要に応じて化学療法を行うことがあります。ホルモン感受性の無い患者さんやホルモン感受性があっても再発の確立が高いと判断された場合は、ホルモン療法と化学療法を併用します。
(3)乳房切除手術を受けた人の局所再発の治療:乳房切除手術を受けた人に対しては、化学療法が中心になります。再発したガン組織の病理検査を行い、その性質を調べて、最も適切な抗ガン剤を選択します。また、必要に応じて、ガンやリンパ節を切除する手術や副作用の少ない三次元ピンポイント(定位)放射線療法を加えることもあります。
(4)遠隔転移したん乳ガンの治療:遠隔転移が起きると、根治が難しいのが現状です。この場合には、病気の進行を遅らせる一方、生活の質を維持することを目指します。
遠隔転移している場合、画像検査で再発を早期に発見できて、自覚症状がない段階で治療しても、自覚症状が出てから治療を始めても治療成績は変わらないことがわかっています。
(5)転移ガンの.自覚症状:自覚症状は、骨への転移であれば「骨の痛み」を感じます。また、肺への転移では、「息切れやせき」があります。そのほか、「倦怠感・食欲低下」や「みぞおちの圧迫感」、「頭痛・めまい」などもよく現れる症状です。
(6)遠隔転移の薬物療法:薬物療法で使う薬には、「ホルモン剤」、「分子標的薬」、「抗ガン剤」があります。どの薬を使うかを決めるために病理検査を行って、「ホルモン感受性の有無」を調べ、ホルモン感受性があればホルモン剤を使います。
また、HER2タンパクの有無」を調べ、HER2タンパクがあれば分子標的薬を使うのが基本になります。トラスツマブ(商品名:イレッサ)は、白血球減少などの副作用が少なく、非常に期待されていますが、前に述べたように、間質性肺炎という副作用に気をつけてください。
(ア)HER2という特定の遺伝子が有る場合:
(A):ホルモン感受性がある人にはホルモン剤と分子標的薬を使い、ガンが進行したら分子標的薬と抗ガン剤を使います。
(B):ホルモン感受性が無い人には分子標的薬と抗ガン剤を使います。
(イ)HER2タンパク遺伝子が無い場合:
(C):ホルモン感受性が有る人にはホルモン剤を使い、ガンが進行したら抗ガン剤を使います。
(ウ)ホルモン感受性が無い人には抗ガン剤を使います。
ガンが増殖するためには、たくさんの血液が必要になるため、ガンは新しい血管をつり出します。この現象を「血管新生」といいます。現在、臨床試験が進められている血管新生阻害薬の「ペパシズマブ」という薬には、血管新生を阻害する働きがあります。これを使うことによって、ガンは新しい血管を作れなくなり、栄養や酸素が不足してガンが増殖できなくなります。
現在、再発した乳ガンの治療に対して、どのような抗ガン剤と組み合わせたら効果的か?を調べる臨床研究が進んでいます。
抗ガン剤(化学)療法の副作用:
それでも、点滴当日は吐き気、嘔吐、アレルギー反応など、休薬期間の2〜3日目は倦怠感や食欲低下など、1〜2週間は口内炎、白血球減少、免疫低下が、2〜3週間は脱毛が起こります。前述したFEC療法の場合、最も気をつけなければならないのは、1〜2週間目に現れる「白血球の減少」と「免疫力の低下」です。この時期は、細菌やウイルスに感染しやすくなっていますから外出を控えたりして、これらに感染しないように注意することが大切です。
抗ガン剤は、2種類以上を組み合わせて、内服や点滴で投与します。点滴投与は、毎週、2週間毎、3週間毎に行う場合があります。毎週行う場合は、3週間行って1週間は休薬する場合が多いです。いずれも期間は、4〜6カ月です。
抗ガン剤による副作用には、患者さんが訴える「だるさ」,「吐き気」、「嘔吐」、「不眠」、「食欲不振」、「下痢」、」便秘」、「口内炎」などがあります。この副作用は、投与頻度にもよりますが、点滴投与の日から1〜3週間続くこともあります。このほか、3週間頃から現れる「頭髪の脱毛」が起こり、白血球減少に伴う「発熱」や感染症にかかりやすくなります。「肺炎」や「敗血症」にかかりやすくなりますので、体調に異常を感じたら、すぐ診療を受けてください。
乳ガンの完治:
一般に、ガンは5年間再発しなければ「完治」と見なされますが、乳ガンの進行は非常にゆっくりしているため、最低でも10年間は観察が必要です。手術後に薬剤による全身治療を受けている間は、3〜6カ月に1回、乳房を含めた全身の検査を受けてください。特に残った乳房を詳しく調べることが重要です。それ以降は、1年に1回、マンモグラフイーを受けましょう。
第2章 子宮頸ガンの治療法
子宮頸ガンの病期と主な治療法を次に示します。
子宮頸ガンの病期と主な治療法
1.病期:異形成(前ガン状態)、上皮(上皮内に止まっている場合。
主な治療法:円錐切除術、レーザー蒸散術、単純子宮全摘出術、光線力学的療法(PDT)。
2.病期:Ia1期(深さ:<3mm、広がり<7mmのガンが子宮頸部にとどまっている場合。
主な治療法:円錐切除術、単純(拡大)子宮全摘出術。
3.病期:Ia2期(深さ:3mm〜5mm、広がり<7mmのガン)の場合。
主な治療法:広汎子宮全摘出術。
4.病期:Ib期(子宮頸部にとどまっているIa1、Ia2以外のガン)の場合。
主な治療法:広汎子宮全摘出術。
5.病期:II期(ガンは子宮頸部を超えて広がっているが、骨盤壁または壁下の1/3に達しない)場合。
主な治療法:広汎子宮全摘出術。
6.病期:III期(ガンが骨盤壁にまで達していて、ガンと骨盤壁との間に隙間がないもの。または膣壁1/3に達する)場合。
主な治療法:化学療法と放射線療法の併用。
7.病期:IV期(ガンが膀胱、直腸の粘膜に広がっている、あるいは小骨盤腔を超えて広がっている)場合。
主な治療法:化学療法と放射線療法の併用。
第1節 子宮頸ガンの外科手術
子宮頸ガンの治療は、子宮を摘出する手術が基本です。しかし、異形成や上皮ガンなど、ごく早期(1a1期)のガンに対しては、患者さんの妊娠・出産の希望がある場合には、次のような子宮を残す治療もできます。
(1).子宮全摘手術:子宮摘出の仕方やどのくらいの範囲を切除するか、あるいは卵巣も同時に摘出するかは、病期やガンの種類、患者さんの年齢などによって異なります。
(ア)円錐切除術:
Ia1期までのごく小さいガンの場合で、子宮だけを摘出します。閉経後の人の場合は、卵巣も一緒に摘出することもあります。通常、骨盤内のリンパ節の切除は行われません。
数分の高周波メスや30〜40分のレーザーメスによって子宮頸部を円錐状に切除する方法で、診断として行われる場合と診断と治療を兼ねて行う場合があります。ガンの進行具合を調べるための検査としても行われる場合は、切除した組織を詳しく調べ、それ以上ガンが広がっていなければ治療が終えたことになります。
逆に、上皮内ガンや1a1 期と考えて円錐手術をしたところ、 1a2期以上であった場合は、広汎子宮全摘手術が必要になります。術後は妊娠が可能ですが、頸部を切除しますので子宮口が広がりやすく、流産のリスクがわずかに高くなります。入院期間は、7〜10日程度です。
(イ)単純子宮全摘出:術:
子宮だけを切り取る手術で、閉経後の人などでは、卵巣も一緒に切除することもあります。解腹して行う「腹式」と膣から行う「膣式」がありますが、多くは確実性の高い腹式で行われます。ただし、上皮内ガンの場合は、膣式や腹腔鏡で行われることもあります。開腹手術に比べて傷跡が小さく、述後の回復も早くなるという利点があります。
(ウ)拡大子宮全摘出:術:
準広汎子宮全摘出術ともいい、単純子宮全摘出:術と広汎子宮全摘出:術の中間にあたる方法で、主にIa1期が対象になります。子宮とともに、子宮周囲の組織(子宮傍組織)や膣、傍膣結合織の一部を切除します。必要なときには、卵巣・卵管や骨盤内のリンパ節を切除することもあります。
(エ)広汎子宮全摘出術:
Ia2期、Ib期, II期を対象に行われる方法です。子宮、子宮傍組織や膣、傍膣結合織、卵巣、卵管、骨盤内のリンパ節など、広い範囲を切除します。リンパ節に転移している可能性が高いので、同時に骨盤内のリンパ節も切除します。入院期間は2〜3週間程度です。手術後に放射線療法を受ける場合には、さらに、5週間ほどの入院が必要になります。
第2節 子宮頸ガンの抗ガン剤(化学)療法:
子宮頸ガンの化学療法は、III期都IV期のガンに対して放射線療法と同時に行われています。
この場合、シスプラチン単独、もしくはシスプラチンとフルオウラシルが併用されます。手術前や肺転移している場合は、シスプラチンと塩酸ブレオマイシンやマイトマイシンCを組み合わせて行うのが一般的です。
第3節 子宮頸ガンの放射線療法など。
欧米では早期の子宮頸ガンに対しても放射線療法が主流になっていますが、日本ではII期とIV期で、手術ができない場合や再発した場合に行われるのが一般的です。体の外から照射する「外部照射」と子宮内に放射線源を入れる「腔内照射」を組み合わせて行われます。大体、8〜10週間の入院が必要になります。
また、広汎子宮全摘術の後にもガン細胞が残っていることもあるので、術後に放射線療法を行うことがあります。骨盤全体の外部照射が一般的です。
光線力学的療法(PDT):
レーザーに非常に敏感に反応する「光感受性物質」を体内に注入してレーザー光線を照射すると、光感受性物質はガン細胞に取り込まれてレーザー光線に殺されます。この場合、感受性物質はレーザー光線の照射後も体内に残るため、約3週間は入院して日光に当たらない生活を送る必要があります。
PDTでは、子宮はほぼ完全に残せるので妊娠は可能ですが、胎児に対する光感受性物質の影響が不明なので、治療後の1年間は避妊が勧められます。この治療法を実施している医療機関は少なく、特殊な方法です。
レーザー蒸散術:
ガンにレーザーを照射して蒸散させる方法で、異形成や上皮内ガンが対象になります。外来で30分ほどででき、繰り返して行うこともあります。妊娠や出産への影響が少ないのが特徴です。この方法では、ガンは消えてしまうので、組織疹で確認することはできません。そのため、浸潤ガンであるかどうかが疑われる場合は、円錐切除術のほうが無難といえます。
手術の後遺症:
円錐切除術や単純子宮全摘出術後にはあまり後遺症はありません。卵巣摘出後や広汎子宮全摘術後には、「更年期様症状」、「排尿障害・便秘」、「足のむくみ」のどの後遺症が起きることがあります。
後遺症(1)更年期様症状:閉経前に療法の卵巣を摘出すると、「のぼせ、冷え、頭痛、発汗」などの更年期障害に似た傷害が起きることがあります。この場合は、薬で女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法」によって症状を抑えることができます。
後遺症(2)排尿障害・便秘:広汎子宮全的手術によって膀胱や直腸を支配する自律神経が切られると、排尿障害や便秘が起きることがあります。排尿障害は、排尿訓練を行うことによって、2〜4週間ほどで正常に戻ります。便秘には下剤で対処できます。しかし、近年は手術の技術が進歩し、自律神経が温存できるようになったため、排尿障害や便秘が起きるケースは全体の20〜30%程度に抑えられています。
後遺症(3)足のむくみ:リンパ節を切除すると、足がむくむことがあります。長時間立ち続けたり、しないことやマッサージすることが大切です。
「手術後の生活」:
手術後は、およそ1〜2カ月で普通の生活に戻ることができます。なお、定期的な検査は医師の指示に従ってきちんと受けてください。性生活は、手術後の1カ月くらいは控えたほうがよいですが、それ以上は避ける必要はありません。子宮や膣の半分程度摘出しても、卵巣を摘出しても、性生活に支障はありません。膣の潤い不足は、潤滑剤やホルモン補充療法で改善できます。肉体的に問題がなくても、性生活を避けることが多いようです。パートナーの理解といたわりが大切になります。ただし、性行為によって出血や痛みがある場合は、必ず医師に相談してください。
第3章 子宮体ガンの治療法
子宮体ガンの治療法は、主に「外科手術」とそれを支える「放射線療法」と「ホルモン療法」や「化学療法」などの「薬物療法」です。
第1節 子宮体ガンの外科手術
子宮体ガンの治療は、子宮を全部摘出する拡大子宮全摘出術が基本です。なお、 子宮内膜異型増殖症で、将来的に妊娠・出産を希望する人には、「ホルモン療法」もありますが、一般的には、子宮の摘出が原則になります。
手術の方法は、ガンが子宮体部にとどまっているかどうかによって異なります。ガンが子宮体部にとどまっている場合には、Ia1期までのごく小さなガンだけを摘出する「単純子宮全摘出術」、あるいはIa1期の子宮とともに子宮の周囲の組織や膣の一部などを切除する「拡大子宮全摘出術」が行われます。ガンが子宮体部だけでなく、子宮頸部にも広がっている場合は、Ia2とIb 期ならびにII期を対象にし、子宮とともに、膣や卵巣、卵管の周りの組織を広い範囲で切除するとともに、骨盤内のリンパ節も切り取る場合がある「広汎子宮全摘出術」が行われます。また、卵巣も一緒に摘出するのが一般的です。これは、子宮体ガンは卵巣への転移が多いことと、卵巣から分泌されるエストロゲンが子宮体ガンの増殖を促進する作用があるためです。
第2節 早期の子宮体ガンのホルモン療法
子宮内膜異形成やガンが粘膜内にとどまっているごく早期(Ia期)で、子宮を残したいと希望する若い女性に対しては、「ホルモン療法」で治療することがあります。
更年期障害の治療で行われる「ホルモン補充療法」では、主に「エストロゲン製剤」が使われますが、子宮体ガンのホルモン療法では、エストロゲンと一緒に月経周期をコントロールする「プロゲステロン」というホルモンの製剤{プロゲステロ製剤(MPA)」が用いられます。この製剤は、子宮体ガンの増殖を抑制する作用があります。
ホルモン療法は、将来の妊娠のために、子宮を残したいという強い希望がある人で、Ia期までのごく早期で分化度の高い(ガン細胞の性質が正常細胞と比較的近い)、極端な肥満体でない40歳以下の人が対象になります。
「ホルモン療法の副作用」:ホルモン療法では、副作用として血栓(血液の塊)血栓は脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる病気の原因になりますから、治療中は血液の凝固を防ぐ作用があるアスピリンを服用し、定期的な検査が必要になります。もともと血栓症や心筋梗塞などの持病がある人は、この治療法を受けることはできません。血栓は脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる病気の原因になります。血栓症や心筋梗塞などの持病がある人は、この治療法を受けることはできません。このほかに、「体重が増え」たり、「むくみ」が出ることもあります。
第3節 子宮体ガンの抗ガン剤(化学)療法
手術の後、筋肉層の深くまでガンが達していたり、リンパ節に転移が認められた場合には、化学療法が行われます。ガンが肺、肝臓、腹腔内に転移している場合にも、手術に加えて化学療法が行われます。シスプラチン、シクロフォスファミド、塩酸ドキソルビシン(アドリアマイシン)などの抗ガン剤が一般的ですが、最近では、パクリタキセルやパラプラチンも用いられています。
第4節 子宮体ガンの放射線療法
手術の後、筋肉層の深くまでガンが達していたり、リンパ節に転移が認められた場合には、放射線療法が行われます。照射方法は、体外から照射する「外部照射」が一般的です。
「治療後の生活」:
手術後は大体1〜2カ月くらいで、普通の生活ができるようになります。入浴は、述後1カ月は浴槽につからず、シャワーだけにします。性生活は、述後1カ月も経てば差し支えありません。
「再発予防のための検査」:
再発を予防するには、手術後も必ず定期的に検査を受けてください。検査の間隔は病期によって違いますが、内診、血液検査、超音波検査などが行われます。
第3章 卵巣ガンの治療法
現在、卵巣ガンの治療は、病期によって、開腹して病巣を切除する「外科手術法」と航ガン剤でガン細胞を死滅させる「化学療法」を併用するのが一般的です。
第1節 卵巣ガンの外科手術:
1.卵巣ガンの病期の分類:
卵巣ガンの病期は開腹試験と摘出した卵巣を調べた結果によって決定されます。
I期:ガンが片側または両側の卵巣だけにとどまっている状態。
II期:ガンが卵巣の周囲、つまり、卵管、子宮、直腸、膀胱などの臓器や、それらを覆う腹膜に転移している状態。
III期:ガンが卵巣周囲だけでなく、上腹部の腹膜や後腹膜に転移している状態。
IV期:ガンが腹腔の外に転移している、あるいは肝臓に転移している状態。
(1)卵巣・卵管・子宮の摘出:
卵巣ガンは、発見されたときには、すでに転移していることが少なくありません。そのため、ガンが片側の卵巣にしか確認できなくても、転移の見落としを避けるために、手術療法では両側の卵巣と卵管、および子宮も摘出するのが原則です。ただし、I期のごく初期の段階で、患者さんが妊娠を希望している場合は、ガンが存在する卵巣だけを摘出する場合もあります。
(2)大網の切除:
大網とは、胃から垂れ幕のように垂れ下がり、腹膜の臓器を覆っている脂肪組織です。腹腔内に垂れ下がっていて、ガンがつきやすいのですが、切除しても特に害がないので、卵巣ガンの手術では、大網も卵巣や子宮といっしょに切除するのが基本です。
(3)後腹膜リンパ節の切除:
腹膜の後ろにある後腹膜リンパ節も転移が起きやすい部位です。リンパ節への転移が疑われる場合は、その組織一部を採取して検査を行うサンプリングか、卵巣と一緒にリンパ節もすべて切除します。
(4)転移のある他臓器の合併切除:
大腸や小腸、膵臓など腹腔内の臓器にまでガンが転移している場合は、それらの臓器も一緒に切除することになります。IV期では、肝臓も切除することがあります。なお、手術の入院期間は、大体1カ月ほどです。
第2節 卵巣ガンの手術前抗ガン剤(化学)療法
昔の卵巣ガンの治療は、まず最初に手術療法を行い、切除し切れなかったガンを抗ガン剤で死滅させた後に、再度開腹手術によってガンが残っていないかどうかを確かめるのが一般的でした。しかし、卵巣ガンは抗ガン剤が比較的よく効き、患者さんによっては驚くほどの効果を示すこともあります。そのため、最近では、まず化学療法を行い、病巣を小さくしてから手術を行うケースも多くなっています。なお、卵巣ガンに対しては、最近は放射線療法がほとんど行われていません。
1.抗ガン剤の種類
卵巣ガンの治療に用いられる抗ガン剤は、大きく分けて「シスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ系抗ガン剤」と「ドセタキセル水和物やパクリタキセルなどのタキサン系抗ガン剤」の2種類があります。これらの中から、患者さんの年齢、ガンの病期やガンのタイプなどに応じて、複数の抗ガン剤を組み合わせて用います。
2.抗ガン剤の投与法:
投与する方法には、「点滴静脈注射」と「腹腔内投与」があります。
(1)「点滴静脈注射」:、1回につき大体3〜4時間かかります。これを3週間ごとに6回行うのが一般的です。ただし、III〜IV期まで進行している場合には、 6〜9回行われることもあります。点滴の場合は、抗ガン剤が全身に及ぶため、副作用が出やすく、どうしても薬の濃度を下げざるを得ません。
(2)「腹腔内投与」:腹部に直径2〜10cmぐらいの管を埋め込み、そこから抗ガン剤を流し込みます。この方法では、抗ガン剤がガン病巣に直接投与するので、全身の副作用が少なくてすむというメリットがあります。ただし、腹腔内投与では、投与期間中、おなかに菅を入れたままなので、わずらわしさや痛みを感じたり、感染症を起こしやすいという欠点もあります。最近は、ポートを埋め込んで、そこに薬を定期的に注入することも行われています。
3.抗ガン剤(化学療法)の副作用とその対策:
化学療法の副作用は、「吐き気」。「脱毛」、「白血球数の減少」です。「吐き気」に対しては、有効な「吐き止め薬」ができています。実際、卵巣ガンの化学療法においては、ひどい吐き気に襲われて時際に吐いてしまう人は、全体の20%以下程度になっています。「脱毛対策」は報告されていません。「白血球数の減少対策」の基本は、感染症の予防と顆粒球の増加です。感染症を予防するために、無菌室で過ごしますが、実際に卵巣ガンの化学治療で感染症にかかる人は5%以下で、重篤なケースはほとんどありません。顆粒球の増加を図るために、薬剤を投与するか、あるいは輸血が行われます。
4.卵巣ガン療法後の生活:
卵巣ガンの開腹手術を行うと、腸閉塞を起こしやすく、便秘は腸閉塞の原因になりますから、療法後は、消化によいものを食べて便秘を防ぐ食生活を行うこと大切です。大体、手術してから2〜3月もすれば普通の生活に戻れます。
ただし、卵巣を両方とも摘出するとホルモンが急減しますため、閉経と同じ状態になります。「ほてり」、「発汗」、「冷え」、「頭痛」、「めまい」などの「更年期障害」のような症状が現れることがあります。この場合には、「ホルモン補充療法」で改善できます。
さらに、「足のむくみ」が出ることもあります。これは、リンパ節の切除によって、リンパ液の流れが滞るためにおきる後遺症です。弾性ストッキングの使用や、マササージなどで症状を改善することができます。
なお、1〜3カ月に1回の医師による定期的な腫瘍マーカーなどの検査を受けてください。
まとめ
乳ガン、子宮頸ガン、子宮体ガン、卵巣がんの治療について述べました。
乳ガンの治療(1).::直径3cmまでの早期の乳ガンの治療は、「乳房円状部分切除」や「乳房扇状部分切除」などの「乳房を温存する手術」が行われます。この場合、ガン細胞が残っている危険性がありますので、手術後に「放射線療法」や手術前に「抗ガン剤による化学療法」を併用します。
乳ガンの治療(2):.ガンが乳房全体に広がっている場合には、胸の筋肉を残す「胸筋保存乳房切除術」を行います。リンパ節への転移を調べるため、「センチネル(見回り)生検」を行って調べます。
乳ガンの治療(3).目に見えないガン細胞を死滅させるために、必ず「ホルモン療法」や「抗ガン剤による全身療法」を行います。
2.治療後には、手術した腕の「むくみ」が起きことがあります殻、こまめに腕をマッサージしてください。
3.乳ガンは、最程度も10年間は1年に1回はマンモグラフイーを受けましょう。
子宮頸ガンの治療(1):早期の子宮頸ガンの治療は、子宮頸部を円錐状に切除する「円錐切除術」があり、ガンにレーザーを照射して蒸散させる「レーザー蒸散術」や体内に光感受性物質を注入してレーザーを照射する「光線力学的療法(PDT)」があります。
子宮頸ガンの治療(2).:開腹して子宮を摘出する手術は「単純子宮全摘出術」、「拡大子宮全摘出術」、「広汎子宮全摘出術」などの「子宮全摘出術」があります。
子宮頸ガンの治療(3).「放射線違法」と同時に行われる「抗ガン剤療法」が併用されます。
手術の後遺症:手術後には、「更年期様症状」、「排尿障害」「便秘」、「足のむくみ」などの後遺症が起きることがあります。
子宮体ガンの治療(1):拡大子宮全摘出術が一般的です。また、卵巣も一緒に摘出するのが基本です。
子宮体ガンの治療(2):手術後に「放射線療法」や「抗ガン剤療法」を行います。
子宮体ガンの治療(3)「ホルモン療法」を行いますが、血栓ができやすいので脳梗塞や心筋梗塞の可能性がありますから血栓対策が必要です。
子宮体ガンの治療後の生活:再発を防止するため、必ず定期的に検査を受けてください。
卵巣ガンの治療(1):開腹手術して卵巣・卵管・子宮、大網、後腹膜リンパ節と転移している他臓器を切除します。
卵巣ガンの治療(2):手術前に抗ガン剤によってガンをできるだけ小さくする「手術前化学療法」を行います。
化学療法の副作用:「吐き気」、「脱毛」、「白血球減少」などの副作用に注意することが必要です。
治療後の生活:便秘をしないように、また、更年期障害には、女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法」を行って改善してください。
また、定期的に医師の検査を受けてください。
おわりに
本稿を作成するに当たって、別冊NHKきょうの健康、NHKテレビテキストきょうの健康2008年5月号、および植松 稔著「明るいがん治療」(三省堂)を参考にさせていただきました。付記して感謝いたします。
(2008年8月)
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