[研究要旨]

2008年4月22日に受理されたNairとの共同研究の論文

Prevention of cisplatin-induced nephrotoxicity
by glucosides of ascorbic acid and α―tocopherol:
Dani Mathew Mariakel,Tsutomu Kagiya,Cherupally Krishnan Krishnan Nair
Experimental and Toxicologic Pathology:


 

Abstract:

背景:
 シスプラチンは、最も広く使われている抗ガン剤である。この抗ガン剤は効果的な量を投与すると、腎毒性などの多くの副作用を発現する。この副作用は、酸化的なフリーラジカルによって発現する。

実験方法:
 シスプラチン(12mg/g)をマウスの腹腔に投与し、その1時間前あるいは24時間後または48時間後にビタミンCの配糖体(AsAG:250または500mg/kg)、またはビタミンEの配糖体(TMG:500mg/kg)を経口投与し、血清中の尿素とクレアチニン、腎臓組織内の脂肪の酸化物、抗酸化活性、ならびに組織病理学的知見を調べた。

結果:
 マウスの腹腔にシスプラチンを投与すると、腎臓組織の構造変化と共に血清中の尿素(1.8倍)とクレアチニン(3.0倍)のレベルは急激に増大した。また、シスプラチンは脂質の酸化を促進(3.0倍)し、腎臓組織内のSODを1/2に低下させ、グルタチオン(GSH:0.52倍)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx:0.68倍)、スパーオキサイドデスムターゼ(SOD:0.52倍)、ならびにカタラーゼのレベルを0.72倍に減少させた。

 AsAG(500mg/kg)を経口投与すると、シスプラチンによって誘導される血清中の高いクレアチニン(1.74mg/dl)は1.43mg/dlに、尿素(51.76mg/dl)は35.15mg/dlに減少し、シスプラチンによる有害なSOD(5.66 U/mgprotein)の増大を防ぎ(10.58U/mg protein)、シスプラチンによって誘導される脂質の過酸化を防いだ。TMG(500mg/kgを経口投与するときも、シスプラチンによる脂質の過酸化は抑制された。

結論:
 これらの結果は、AsAGやTMGは、シスプラチンによるマウスの腎機能障害を防ぐことを示した。この防護作用は、抗酸化状態の減少を防止することによるものであり、ヒトの場合に適用できると考えられる。

訳者注:
 これまで、シスプラチンによる副作用がAsAGの経口投与によって抑制されることが臨床的に認められていた。この研究によって、副作用抑制のメカニズムが解明された。

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連絡先Mail:t-kagiya@ra2.so-net.ne.jp

 

(2008年8月)