[研究要旨]

抗酸化ミネラル酵母による抗がん剤の毒性抑制

 鍵谷 勤(財・体質研究会) )、
Nina・Konovalova(ロシア科学アカデミイ)

 

 現在のガン治療において最も必要な課題のひとつは正常細胞の損傷を防ぐ研究である。われわれは抗ガン剤による生体損傷の防御に関する研究を行なっている。前回、抗がん剤治療の副作用がビタミン配糖体によって抑制される臨床研究を報告した(第11回国際癌治療増感研究会、桑名市)。

「目的」:われわれは、マンガン、亜鉛、銅、セレンなどの抗酸化ミネラルを含有するサッカロマイセスセレビジエ酵母が抗ガン剤による副作用を予防あるいは治療する効果を発見したので、その効果と作用について報告する。

「実験」:8〜9週齢の雌性BDFマウス(体重20〜22g:1群10匹)の腹腔に、抗酸化ミネラル含有酵母懸濁液(0.3ml)を注入し、シスプラチン(CDDP)(12mg/kg)あるいは16mg/kgを腹腔に投与して平均生存日数あるいは30日生存率を調べた(対照群は0.5%、メチルセルローズを0.3ml/匹、腹腔に投与した)。

「結果」

  投与タイミング
平均生存日数
対照群−1  CPA(600mg/kg)
 
セレン(0.3%)酵母(750mg/kg)
30分前
17
対照群−2  CPA(360mg/kg)
 
53
セレン(0.3%)酵母(750mg/kg
30分前
100

 

  投与タイミング
30日生存率
(%)
対照群−3   CDDP(12mg/kg)
 
50

Zn(10%)酵母(100mg/kg)

30分前
88
銅(5%)酵母(100mg/kg)
30分前
83
対照群−4   CDDP(16mg/kg)
 
Mn(5%)酵母(100mg/kg)
直後
17

        

「注」伊古田ほか;本研究会別報の「スーパーオキシド消去活性」:DMPOを用いるESR-スピントラッピング法にて行った。スーパーオキシドはヒポキサンチンとキサンチンオキシダーゼにより発生させた。DMPO−O2 -付加体のピーク強度を半分に減少させる酵母の濃度を求め、各酵母のスーパーオキシド消去能を比較した。その結果は、Zn(10%)酵母は最も高く(1.00)、Mn(5%)酵母;0.47、Cu(5%)酵母;0.42、Se(0.2%)酵母;0.08、パン酵母;0.10 であった。

「結論」:抗酸化ミネラル含有酵母は抗ガン剤の毒性を抑制する効果を示し、特に亜鉛酵母と銅酵母の活性が高かった。SOD活性が高い酵母ほど抑制効果が高いことから、抗ガン剤による生体の障害はスーパ−オキサイドによること、および障害の抑制はスーパ−オキサイド消去(SOD)によると考えられた。

 

(2006年3月)