|
インドの共同研究者で国立原子力研究所(BARC)のCKK Nair博士らの研究論文「ガン細胞の放射線誘発アポトーシス(自滅)のサナゾールによる増感」が日本の放射線研究雑誌(J.
Radiation Research、45巻)に掲載された.。マウスに移植したサルコーマ腫瘍に放射線を照射すると腫瘍細胞のアポトーシスが起こり、サナゾールを共存させると促進(増感)されたという論文である。サナゾール単独でもアポトーシスは増えるが、放射線の照射線量と共にアポトーシスは多く誘発される。この放射線アポトーシスはサナゾールが共存すると1.2倍に増感された(表―1)。放射線治療の効果を高めるサナゾール増感放射線アポトーシス研究の今後の発展が期待される。
2002年にM.Aokiらは血液ガンのL5178Yというリンパ腫瘍細胞に放射線を照射するとアポトーシスが起こり、低酸素下の場合だけにニトロイミダゾールによって増感されることを発表している(J.
Radiation Research、43巻)。これで、ニトロイミダゾールやニトロトリアゾールなどのニトロアゾール類は放射線誘発アポトーシスを増感することが明らかになった。放射線によって部分損傷を受けた非致死損傷ガン細胞がアポトーシスによって自滅し、これをニトロアゾール類が増感したものと考えられる。
一方、中国第四軍医大学の郭国禎博士は、抗ガン剤のマイトマイシン(MMC)がマウスのS−180固形腫瘍のアポトーシスを誘発し、これをサナゾールが増感することを10年前に発見していた(Sensitization
Newsletter、2(4)2−4,1995)。MMCやサナゾール単独ではアポトーシスに影響を与えないが、両者を共存させるとサナゾールの投与量と共にアポトーシスは増え、3.3倍に増感された(図―1)。抗ガン剤がガン細胞のアポトーシスを引き起こすことは知られているが、少量の抗ガン剤によって誘発された固形腫瘍のアポトーシスが第三成分によって大きく増感されることを発見した貴重な研究である。
筆者らの25年間のガン治療国際共同研究プロジェクト「サナゾールによるガン治療増感研究」は放射線や抗ガン剤によってガン細胞の増殖を停止させる治療法の効果を高める研究である。ガン細胞を自滅させるアポトーシスの誘発を増感させる治療法はガン細胞を増殖死させる従来の治療法と異なる新しいガン治療法である。また、ガン細胞の自滅を誘導し、これを増感する方法は自然治癒力を高めるガン予防法の一つになり得ると考えられる。ガンのアポトーシス増感の発展が新しいガンの治療法と予防法になることを目指して研究を行っている。
(図表は省略しました。2004年2月)
|