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レントゲンがX線を発見して初めてのノーベル賞を受賞したのは1901年、ベックレルの放射能の発見とキューリー夫妻の放射能の研究によって3名の物理学者がノーベル賞を受賞したのは1903年のことである。
過去100年の間に、発電は原子力によって、ガンの治療は放射線によって行われるなど、さまざまな分野で原子エネルギーは人類の役に立ってきた。しかし、チェルノブイリの原発事故や東海村の工場事故は世界に「原子力は利益と恐怖の双刃の剣である」ことを思い知らせた。特に、作業員を死亡させた東海村事故は日本人に痛ましい記憶を鮮烈に刻みつけた。
健康を損なう放射線の被曝を防ぐ研究は国際原子力機関をはじめ、世界中で行なわれている。日本の大学、国立研究所、原子力発会社では、放射線防護や放射線の生物影響に関する研究が行われている。しかし、これらの主な研究は原子力工場における放射性廃棄物の管理や排出量の削減研究であって、放射線防護や被曝治療の研究は殆ど行われていない。
また、毎年、10万人以上のガン患者が放射線治療を受けている。ガンを治療する放射線も双刃の剣で、健康な組織も損傷する副作用がある。治療の数週間以内に起きる食欲不振や皮膚炎、下痢、白血球の減少などの急性放射線障害、半年以後に生じる直腸炎などの晩発放射線障害、さらに数年以降に現れる放射線ガンの発症がある。しかし、これらの副作用の治療や予防の研究は殆ど行なわれていない。
1996年に私たちは、油溶性で水に溶けないビタミンEを水溶性にしたトコフェロール配糖体(TMG)はフリーラジカル消去剤で、放射線防護作用があることを学会で発表した(日本放射線影響学会第39回大会)。2000年にインドの研究者がTMGの放射線防護効果をカナダで発表した内容がアメリカで注目され、放射線防護剤に関する国際会議の開催を要請された。2001年7月、「健康のための放射線防護剤」という国際シンポジウムで高線量急性被曝と低線量慢性被曝の植物抽出物質や合成物質による防護作用についての知見が交流された。いくつかの有効な化合物や植物抽出物質が発表された。
これらの抗酸化ビタミンには老化をはじめ活性酸素が引き起こす多くの病気を予防して健康を守る性質がある。放射線作業者の安全を守り、被曝者の治療、放射線治療の副作用抑制さらには病気を予防するこれらの物質による放射線の防護および被曝治療の研究の発展が望まれる。
(2004年2月)
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