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1989年、ペルーで行われた子宮頸部癌の放射線治療においてサナゾールの増感効果が確認されたので、これを無料で提供する国際共同研究の開始を世界中に知らせた。これまで、発展途上国の7カ国・18グループが基礎研究に、12ヶ国・30グループが臨床研究に参加し、12種類の癌の放射線治療におけるサナゾール増感放射線治療の結果を報告している。
(1)海外のサナゾール増感放射線治療例
(その1)−頭頸部癌−
1989年7月、大きい頭頸部癌(10cm)の女性(44歳)がペル−のチクレイヨ病院でサナゾール静注増感放射線治療を受けた。
治療法:50 mgのヒドララジン(市販の降圧剤)を服用の45分後に、1%のサナゾール生理食塩水溶液を115ml静注し、3GyのCo−60を照射する治療を週3回、隔日に、第1週だけ受けた。その後、毎回2Gy、週5回、標準放射線治療を受けた。8日後(19Gy照射)の7月14日には、腫瘍は90%縮小した。25日後(25Gy照射)の7月26日には、腫瘍はほぼ消失した。全治療終了(8月11日、73Gy照射)の43日目には、腫瘍は完全に消失した(実物写真割愛)。
(その2)−乳癌−
1989年11月、左脇下に5cmの転移腫瘍の stage IVの進行乳癌患者がペル−のチクレイヨ病院でサナゾール静注増感放射線治療を受けた。
治療法:50mgのヒドララジン(降圧剤)服用の1時間後に、60mlの1%のサナゾール生理食塩水溶液を静注し、直後に4GyのCo−60を照射した。その直後に、アルケラン(抗癌剤)を5錠服用した。一週間に3回、サナゾール静注と共に4Gyの照射(12Gy)を受けた後、2Gyの照射を毎週5回、28日間に20回(46Gy)を受けて治療を終了した。17回の標準照射の際、乳房の上外側に、毎回、20mlの1%サナゾール含有生理食塩水を直注した。ヒドララジン口服後にサナゾールを静注する増感放射線治療の1ヵ月後に腫瘍は消失し、脇下の腫瘍も触知できなかった(実物写真割愛)。この治療における皮膚障害は極めて少なかった。
(その3)−肺癌−
1992年、北京の307病院において、5人の進行性肺癌患者のサナゾール口服増感(カプセル服用)放射線治療が行われた。腫瘍:3〜6cm×4〜7cmの偏平上皮癌。
| 放射線治療: |
2Gy照射を毎週5回、6−8週間に60−75Gy照射。 |
| サナゾール増感: |
2Gy照射の2時間前に250mg入りカプセルを7個(平均1.7g)を毎週2回、4週間に8回服用(13−14g、40Gy)。 |
| 治療効果: |
全員、完全に治癒(組織検査)した(X線写真割愛)。 |
| 副作用: |
急性の副作用はなかった。また、血液特性に変化はなかった。 |
(その4)−食道癌 (1)−
1994年8月、食道癌の北京の女性(50歳)が中国空軍病院でサナゾール静注増感放射線治療を受けた。
| 腫瘍: |
8cmの偏平上皮癌(T3ー4)。 |
| 放射線治療: |
3.0ー3.0Gy、週3回、6−9回。
その後、毎週5回、1.8−2.0Gyを照射(57日間に40回、69Gy)。 |
| サナゾール: |
照射前に100mlの2%水溶液を12分間に点滴静注。第1、第3および第5週に、週3回、合計9回 (18g)投与した。 |
| 治療効果: |
完全に治癒した。(X線写真割愛) |
| 副作用: |
特に重篤な副作用はなかった。 |
(その5)−食道癌 (2)−
2000年、インド・ムンバイ市のタータ記念病院では、10名の食道癌患者に対して、50mlの2%サナゾール水溶液を服用させた2時間後に放射線を照射する治療を行ない、治癒率および生存率の向上が認められた。
(その6)−子宮頚癌−
1995年、国際原子力機関(IAEA)は、ナイジェリヤ、トルコ、インド、パキスタン、スリランカ、中国の6ヶ国による第III期子宮頸部癌のサナゾール静注増感放射線治療国際共同臨床研究を開始した。実験群と対照群の各200人の治療効果を比較し、重篤な副作用も少なく、サナゾールによる局所治療および生存率向上の増感効果が確かめられた(2001年7月終了)。
(2)国内のサナゾール静注増感放射線治療例
社会保険船橋中央病院と国立南和歌山病院の倫理委員会で承認され、サナゾール(1.0g/m2)(週2〜3回、毎週、5〜6週間)静注放射線集学(放射線・化学・温熱)治療の臨床研究が行われている。
社会保険船橋中央病院では、38人の11種類の進行癌に対するサナゾール静注増感集学(手術・放射線・温熱化学)治療が行われた。腫瘍部位は、乳癌(8人)、食道(7人)、肺(6人)、結腸(4人)、子宮(4人)、膵臓(3人)、鼻咽頭(2人)、胃(1人)、甲状腺(1人)、胆嚢(1人)、骨(1人)である。腫瘍は、腺癌(21人)扁平上皮癌(14人)、その他(4人)である。治療は、放射線(15人)、放射線・温熱(6人)、放射線・化学(4人)、化学・温熱(2人)、化学・放射線・温熱(11人)であり、手術を併用した場合もあった。
治療成績:応答率は76%(CR:5人,PR:24人,SD:9人)完全治癒(CR)は、食道癌(2人)、乳癌(2人)、子宮癌(1人)であった。
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