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はじめに
日本人に一番多い胃ガンは、40才代から増え始め、60才代が最も多くなります。男性は女性のほぼ2倍で、男性に多いガンです。胃ガンの死亡率は40.4/人口10万人(1999年調査)で、この5年間に胃ガンによる死亡率は0.1増えました。胃ガンの死亡率は年々低下しています。健康診断などで約60%が早期に発見されるようになったためです。以下、胃ガンの各県の男女の死亡率・原因・病期・診断・治療・治療後の生活などについて述べます。
1. 胃ガンの各県の死亡率:
胃ガンの男性と女性の死亡率が高い県と低い県を示します。
死亡率が高い県:
| 男性 |
女性 |
| 秋田(65.8) |
秋田(42.4) |
| 山形(58,4) |
山形(40.6) |
| 富山(57.1) |
富山(40.2) |
| 新潟(54.6) |
和歌山(38.7) |
| 島根(51.3) |
岐阜(35.1) |
総じて東北の男性も女性も胃ガンによる死亡率が高かったです。塩辛い食事のせいでしょうか?
死亡率が低い県:
| 男性 |
女性 |
| 沖縄(25.1) |
沖縄(11.6) |
| 熊本(43.2) |
宮崎(21.8) |
| 鹿児島(45.5) |
熊本(24.7) |
| 長崎(50.1) |
福岡(27.4) |
| 宮崎(50.4) |
長崎(27.4) |
男性も女性も沖縄・九州の胃ガンによる死亡率は低かったです。
1. 胃ガンの原因:
胃ガンの原因は、はっきりしていませんが、塩分の多い漬け物からできる硝酸塩やニトロソ化合物がひとつの原因であると考えられています。塩分の多い漬け物を好む男性の食生活習慣が胃ガン死の高い原因であると考えられます。東北地方の胃ガン死亡率が高く、沖縄県が低いことは食品の塩分と関係していると考えられます。
2. 胃ガンの症状:
胃ガンには、特徴的な症状はありません。胃ガンの手術を受けた人の約30%は、無症状だったそうです。胃炎や胃潰瘍を疑って検査を受けて胃ガンが発見されることも多いようです。近年は、健康診断やガン検診などが普及し、非常に早期の胃ガンでも発見できる場合が多くなっています。しかし、「胸焼け」や「胃がムカムカする」といった症状を訴える人もいます。このような症状は、慢性萎縮性胃炎や胃潰瘍などによっても起こります。
胃ガンが進行すると、病変部に潰瘍ができますので、「胃の痛みや出血」という症状が現われます。激痛ではなく、みぞおちにジリジリと焼けるような痛みを感じます。胃炎や胃潰瘍の痛みとの区別することは難しいですが、胃ガンの場合には「食後に痛むことが多い」ようです。また、「食事がのどを通りにくくなる」や「胃が重い」などの症状が出てきます。ただ、胃ガンが進行しても、全く症状がでないこともあります。ガンが胃の表面には出ずに、胃壁の中を広がって大きくなる「スキルス胃ガン」は全体の10%で、若い女性に多く見られる胃ガンです。
ピロリ菌と胃ガン:ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する細菌です。日本人では、40才以上の人の約70%以上が感染しているといわれています。ピロリ菌の刺激によって、胃炎や胃潰瘍などが起きると考えられていますが、胃ガンもピロリ菌が原因になると考えられます。ピロリ菌は薬で除菌することができますから。検査してもらうことが勧められます。
3.胃ガンの病期:
早期(IA期、IB期、II期)の胃ガンは、胃壁の内側から粘膜、粘膜下層に限局されたガンです。進行ガンは筋層や漿膜下層に達したガン(IB期、II期、III期)です。IV期は肝臓、肺、腹膜などの遠い臓器に転移したガンです。
4.胃ガンの診断:
胃エックス線二重造影、内視鏡検査、腹部超音波内視鏡検査、腹部CT検査や注腸造影検査などが行われます。肝臓や胆嚢、膵臓などの胃の周囲の臓器やリンパ節への転移を調べるために、腹部超音波内視鏡検査や腹部CT検査が行われます。また、大腸への転移を調べるためには、肛門から造影剤と空気を注入して撮影する注腸造影検査が行われることもあります。
5.胃ガンの治療:
「ガンを切り取る」のが基本です。その方法は病期や患者の状態などによって選択されます。日本胃癌学会のガイドラインには、定型手術、縮小手術、拡大手術、再建術のほか、化学療法やまれに放射線療法が行われます。手術で切除できないほどガンが進行している場合には「化学療法」が行われます。化学療法でガンを小さくしてから手術したり、手術後に補助的に化学療法を行うこともあります。しかし、胃ガンの場合には、化学療法だけでガンを完全に消失させるには難しく、標準的な治療法としては確立していません。最近、大量のシスプラチンの投与を受けたときに、ビタミンC誘導体を服用して副作用が予防された事例がありました。化学治療の最大の弱点は、副作用のために投与量が制限されることです。副作用を抑えた化学治療は新しいガン治療法になると考えられます。放射線療法は、胃ガンにはあまり効果がなく、一般的には行われていません。ただ、痛みを取り除く目的で行われることがあります。
6.手術後の後遺症:
腸閉塞、食べたものが急に腸に送られるダンピング症状群、貧血、骨代謝障害、逆流性食道炎、胆石などがあります。
7.治療後の生活:
(1) 一回の食事量を半分くらいにして、一日の食事回数を5〜6回にしましょう。食べ物は小さく刻んで、良く噛んで食べます。
(2) 重いものを持ったり、腹圧をかけないようにします。
8.手術後の検査:
手術直後は1カ月に1回、その後は、3カ月〜半年に起きに検査を受けます。検査は、内視鏡検査やエックス線造影検査のほか、転移を調べるために超音波検査やCT検査が行われます。
まとめ
1.秋田や山形などの東北の男性も女性も胃ガンによる死亡率が高く、沖縄県が低いことは食品の塩分と関係していると考えられます。
2.胃ガンには、特徴的な症状はありませんが進行すると「食後に痛むことが多い」ようです。
3.早期の胃ガンは、胃壁の内側から粘膜、粘膜下層に限局されたガンです。進行ガンは筋層や漿膜下層に達したガンで、肝臓、肺、腹膜などの遠い臓器に転移したガンもあります。
4.胃ガンの治療は、「ガンを切り取る」ことが基本になります。日本胃癌学会のガイドラインには定型手術、縮小手術、拡大手術、再建術などの手術法が記載されています。副作用を抑制した化学療法が始まりました。
5.手術後の後遺症には、腸閉塞、食べたものが急に腸に送られるダンピング症状群などがあります。
6.治療後の生活:(1)一回の食事量を半分くらいにして食べ物は小さく刻んで、良く噛んで食べましょう。(2)重いものを持ったり、腹圧をかけないようにしましょう。
7.定期的に手術後の検査を受けましょう。
(2009年12月)
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